紀子の密かな決意


「熱海殺人事件〜モンテカルロイリュージョン〜」をDVDで観て
胸が熱くなりました。
つかこうへいさんのお芝居を生で観ることができたのは、ほんの数回しかありません。
そして今、その巨匠の名作「蒲田行進曲」をベースにしたお芝居を、全国大会で演じられることに無上の喜びと恐怖を感じています。

何が言いたいかというと、ものすごくものすごく自分を情けなく感じているということなのかもしれません。

自分のことを「役者だ」と自信を持っていうことなんて今まで一度もできませんでした。
何十回もう百回を超えたかもしれません、踏んだ舞台に「満足」できたことなんてありませんでした。
私にとって「舞台」や「芝居」とは生きているうえで感じる終わりのように常に身近にあり緊張をもたらし決して休ませてはくれない、まるで生に内包される「死」の恐怖のようなものでした。

何度、芝居を辞めたいと思ったかわかりません。
何度、舞台を降りたいと思ったかわかりません。

自分は下手糞だ努力がない才能もない誰にも何も伝えることができない
いくら舞台で叫んでも、誰も私の声に振り向かないだろう、どんな大切な言葉でも現実でも

私では伝えられない


その恐怖が常に共にあり、幕が上がるまで膝をかかえて震えているような役者でした。

それを誤魔化すために、笑って「大丈夫だよ」という人間でした。



芝居の幕が上がります。

「劇王?〜天下統一大会〜」

愛知県長久手市 長久手市文化の家 風のホールにて
2月9、10、11日

私は東北地区代表、劇作家・佐藤茂紀の役者として
まずは10日に準決勝に出場します。

時間は20分。役者は三人まで。この縛りの中で

「奥羽行進曲!〜Song of the vagabonds〜」

という作品を上演します。

VAGABONDというのは、「放浪者」という意味です。

今の福島の先に、幸せを、本当の日常を見たいと切に願う内容の芝居です。

もう震災のことも、福島のことも忘れたいという方がたくさんいらっしゃると思います。
新聞もテレビのニュースも、福島県と福島県外では全く内容が違ったりもしています。

でも、私は忘れたくありません。
起こったこと、感じたこと、選択したこと、テレビの前にかじりついたこと、情報に惑わされたこと、裏切られたと思ったこと、助けてもらったと思ったこと、今でも帰れない人たちがいること、帰りを待っているモノたちがあること、擦り傷のように被ばくし続けていること。

全国大会に出場しに行くのではないのかもしれません。

この芝居を一人でも多くの人に観ていただきたいから

私は舞台に立ちます。

怖いです。
今までで一番、怖いです。

でも、今回はその恐怖と向き合ってやります。
この声でこの身体でこの精神で

叫びたいことがそこにあります。

20分間。
その間だけ、体が持てばいい。
その後は倒れてもいい、壊れてもいい、狂ってもいい。
20分間。
私は役者として生きます。
すべてに向き合ってすべてを内包して活きます。

すみません。長くなりました。ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
私は弱いから、決意をどこかで表明しないと、また目を背けて怠けてしまうから、
なんだか長々と書いてしまいました。

2月10日 愛知県長久手市文化の家での公演

お時間のあるかたは是非いらしてください。
佐藤茂紀作・演出「奥羽行進曲!〜song of the Vagabonds~」
面白い作品にします!!




2013年01月09日 Posted byユニラビ at 21:25 │Comments(2)

この記事へのコメント
倒れちゃ駄目です!表現者って、どうして臆病で脆い人間が多いんですかね!よーし、わたしもいろいろ変わるぞー!
Posted by TSUNAGI at 2013年01月10日 23:47
つなぎ
本当に憶病でもろいんだよね~・・・・・・。怖がり。
あたしがする怪我は、今までかなり派手だったからねぇ。
本番まで、怪我しない、死なない(笑)も目標ですww
つなぎもがんばれ~~~~~!!!!
Posted by のりこ at 2013年01月12日 21:38
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